里農園をやっている、お米農家の里です。千葉県いすみ市の田んぼで、農薬化学肥料不使用・天日干しで、夫婦でお米をつくっています。
里農園のお米は、農薬も除草剤も一切使っていません。田植えをして一週後くらいから除草作業を始めて、一ヶ月と少し、繰り返し田んぼの草を取ります。そして、夏の終わりに刈り取った稲は束ねられ、稲架(はざ)と呼ばれる竹竿に架けて二週間程かけて自然乾燥させます。
田んぼ中に散らばった一束一束を人力で稲架にかける作業はとても大変な作業ですが、天日(太陽の光)と自然風の力でゆっくりと乾かしたお米は、茎にある栄養が種子である籾に集まって、一粒一粒が追熟されるそうです。
私たちの毎日を支えてくれる主食を自然の力を借りて自分たちで作る、そんな当たり前の喜びをいただきながらお米を育てさせてもらっています。
里農園
里 大介・美里
米づくりのきっかけ
家のまわりの田んぼが使われなくなり、もともと二人とも田んぼをやってみたい気持ちを持っていたので、貸してもらえないか尋ねてみたところ、運良く使わせてもらえることになりました。
みんな田んぼをやればいいのに!
田んぼをはじめて一番に思ったことはこれです。田んぼの作業をしていると、「大変だ」「偉いね」と言われることが多く、稲作の様々な面での大変さは確かにあると思います。
ただ、あらゆる作業の中に喜びがありました。それはおそらく根源的な喜びで、誰もが本来体験できるはずのものだけど、今はそうではなくなっているものだと感じました。
なぜ天日干しにするのか。
数年前に、米作りを始めた友人たちが天日干しのお米を分けてくれました。旭という昔の品種と、いつも食べているコシヒカリ。今まで食べていたお米とはまた違った美味しさがあるように感じ、天日干しの美味しさなのかなと思いました。
自分たちがお米を作ることになり、大型の機械は用意できませんし、何より友人たちが天日干しで美味しいお米を作っているので、当たり前のように天日干しでやろうと考えていました。
いざやってみると、竹を集めるところから、竹を組むのも稲を拾い集めて掛けるのも大変な作業でしたが、出来たときの達成感と、風景の美しさを目にする喜びは本当に特別なものでした。
自分たちの手で種蒔きから収穫までやってみて初めて、お米の強さを知りました。すべてお天気次第のため謙虚な気持ちになりますし、私たちは少し手を出すだけで稲はちゃんと育ってくれます。
やって楽しい、食べれて美味しい、田んぼの魅力。友人たちがはまっていくわけがやっと分かりました。
里農園の特徴
始めたばかりなので、まだ特徴とはいえないですが、昨年は農薬も肥料も使用しませんでした。機械も持っていないので、天日で乾燥させるしかありませんでした。
これからも農薬はずっと使わないと思います。肥料は、今年の春に田起こし(土をかき混ぜ、空気に触れさせることで土壌の養分を活性化させる作業)をする前に米糠を混ぜ込みました。
天日干しは、夫婦二人でできる広さに限界があるので、将来は乾燥機も使うかもしれません。天日干しと乾燥機の米が本当に違うのか、実際に自分でつくった米で食べ比べてみてみたいですね。
里農園の天日干し米の美味しさを、ぜひ味わってみてください。